SERENO LINK / CAREER GUIDE
給与・賞与・
福利厚生のしくみ
転職前に知っておきたい、お金と待遇の基礎知識
全10章|読了時間の目安:約25分|未経験からの転職にも役立つガイド
第1章から読む・目次へ ↓給与の基本を知ろう
「基本給」「月給」「月収」「年収」「手取り」は、似ていても指す範囲が異なります。
基本給
給与の基本となる部分。経験・能力・等級などから設定されます。
各種手当は含まない金額月給
毎月支給される給与として示される額。基本給のみの場合もあります。
手当・固定残業代を含む場合あり月収
その月に支給される給与の総額。残業代で変動する場合があります。
残業代などの変動あり年収
1年間の給与・賞与などの総支給額。
賞与・残業代の算入範囲を確認手取り
総支給額から社会保険料・税金などを差し引いた受取額。
個人の状況で異なる5つの用語の違い
| 用語 | 意味 | 求人選びでの注意点 |
|---|---|---|
| 基本給 | 給与の基本部分 | 賞与等の算定基準になる場合がある |
| 月給 | 毎月の給与額 | 手当・固定残業代の内訳を確認 |
| 月収 | その月の収入 | 残業代等で変動する場合がある |
| 年収 | 1年間の総支給額 | 賞与・残業代等の算入範囲を確認 |
| 手取り | 控除後の受取額 | 個人の状況で異なる |
月給25万円の内訳例
- 基本給
- 200,000円
- 職務手当
- 30,000円
- 通勤手当
- 20,000円
- 総支給額
- 250,000円
POINT|月給だけでなく、基本給と各種手当の内訳を確認しましょう。
同じ月給でも、構成で待遇は変わる
基本給・各種手当・残業代の計算方法を確認しましょう。
職務手当
担当する職務に応じて支給
役職手当
管理職・主任などに支給
資格手当
業務関連資格の取得者に支給
住宅手当
家賃・住居費の一部を補助
通勤手当
通勤交通費を定期券等で補助
家族手当
配偶者・子の養育に関わる補助
地域手当
物価の高い地域での補助
固定残業代
一定時間分の残業代を固定で支給
手当の支給条件・金額・対象範囲は企業ごとに異なります。「住宅手当3万円」でも賃貸限定などの条件がある場合があります。
同じ月給25万円でも中身は違う
| 項目 | 求人A | 求人B |
|---|---|---|
| 基本給 | 230,000円 | 200,000円 |
| 職務手当 | 20,000円 | 20,000円 |
| 固定残業代 | なし | 30,000円 |
| 月給 | 250,000円 | 250,000円 |
残業代の主な割増率
- 法定時間外労働:25%以上
- 法定休日労働:35%以上
- 深夜労働:25%以上
- 月60時間を超える法定時間外労働:50%以上
複数該当時は重複加算されます。法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)と所定労働時間は別です。
固定残業代の確認5項目
- 固定残業代の金額
- 何時間分か
- 対象となる割増賃金の種類
- 超過分の追加支給
- 基本給との区別
「固定残業代があるから追加残業代は出ない」は誤解です。
月給の先にある、賞与・昇給・評価
月給だけでなく、将来の収入につながる制度も確認しましょう。
賞与とは
企業規定・業績・個人評価などに応じて支給される給与。制度がない企業もあります。
基本給基準か月給基準かで賞与額は異なります。
入社初年度の賞与
算定期間の在籍や評価対象期間により、減額・不支給となる場合があります。
- 算定期間中の在籍要件
- 評価対象期間
- 業績連動の有無
昇給制度
- 定期昇給:会社の制度に基づく定期的な昇給
- ベースアップ:全社水準の底上げ
- 昇格:等級が上がる仕組み
- 昇進:役職責任が増える仕組み
- 人事評価:成果・能力査定
職種別の評価例
事務職
正確性、業務改善、Excelスキル、コミュニケーション
IT職
技術習得、課題解決、資格、プロジェクトへの貢献
施工管理職
安全管理、工程管理、品質管理、資格取得、関係者との調整
仮定の給与推移(入社から5年目まで)
※架空の推移であり、実際の昇給を保証するものではありません。
POINT|基本給・賞与・評価制度を、将来のキャリアと合わせて確認しましょう。
額面と手取りの差額を知る
求人票の総支給額と、銀行口座に振り込まれる金額は同じではありません。
給与明細の4ブロック
① 勤怠欄
出勤日数・労働時間
② 支給欄
基本給・手当・残業代
③ 控除欄
社会保険料・税金など
④ 差引支給額
実際に振り込まれる手取り
主な控除項目
健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税・住民税・介護保険料(40〜64歳の対象者)など。
※月給25万円・賞与なしの架空試算です。実際の控除額は個人の状況等で異なります。
住民税のしくみ
住民税は前年の所得を基準に課税されます。前年の所得がない場合などは、入社初年度に住民税が課税されないことがあります。
- 転職直後は前職の所得も関係する場合がある
- 退職後も前年所得に対する課税が続く場合がある
初回給与の確認ポイント
- 給与締日と給与支払日は企業ごとに異なる
- 入社日により日割り計算になる場合がある
- 初回給与が満額支給されないケースがある
- 住民税の徴収が入社後すぐ始まらない場合がある
POINT|生活費の見通しは、額面ではなく手取りを基準に。
4つの公的保険のしくみ
健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険を整理します。
健康保険
業務外の病気・けが・出産などに備える医療保険。
原則、労使負担厚生年金保険
老齢・障害・遺族に関する公的年金制度。
労使折半雇用保険
失業等給付・育児休業給付など。
労使負担労災保険
業務上のけが・通勤災害を補償。
原則、事業主全額負担加入条件は雇用形態の名称だけで決まりません。労働時間・賃金・企業規模・雇用見込期間など、制度ごとの要件で判断されます。
| 制度 | 主な目的 | 保険料負担 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 業務外の病気・けが・出産等 | 原則、労使負担 |
| 厚生年金保険 | 老齢・障害・遺族年金 | 労使折半 |
| 雇用保険 | 失業給付・育児休業給付等 | 労使負担 |
| 労災保険 | 業務・通勤による災害補償 | 原則、事業主全額 |
転職時の切り替え
- 健康保険:新しい会社で加入手続き
- 年金:新しい会社で資格取得手続き
- 雇用保険:必要な書類の受け渡し
- 前職の書類は退職後に交付される場合がある
無期雇用派遣の場合
- 雇用主は派遣元企業
- 加入要件を満たせば社会保険の対象
- 賞与・福利厚生は派遣元企業の制度による
- 一律に不安定・低待遇とはいえない
短時間労働者の適用要件は法改正等により段階的に見直されています。最新の条件は公的資料でご確認ください。
給与以外の待遇を読み取る
福利厚生は、実質的な生活費や働きやすさに影響します。
住宅関連
- 住宅手当
- 社宅・社員寮
- 引越し費用補助
生活・健康
- 通勤手当
- 食事補助
- 健康診断・人間ドック
- 育児・介護支援
研修・資格取得
- 事務:Excel・MOS・簿記
- IT:ITパスポート・基本情報等
- 施工管理:施工管理技士等
退職金制度
- 退職一時金
- 中小企業退職金共済
- 確定給付企業年金(DB)
- 企業型確定拠出年金(DC)
法定福利厚生
法律に基づいて提供が求められる社会保険・労働保険など。
法定外福利厚生
企業が独自に導入する住宅・研修・食事補助など。利用条件は企業によって異なります。
社宅による住宅負担の比較
社宅・住宅補助なし
家賃 70,000円/月
入居時の礼金・更新料・火災保険等が別途発生する場合あり
社宅利用時
本人負担 30,000円/月
月差額 40,000円/年換算 480,000円
退職給付の主な選択肢
| 制度 | しくみ | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 退職一時金 | 退職時に一括支給 | 会社ごとの規程で異なる |
| 中小企業退職金共済 | 中小企業向けの共済制度 | 掛金は事業主が拠出 |
| 確定給付企業年金(DB) | 給付額が規約に基づき定められる | 企業・基金が運用 |
| 企業型DC | 拠出金を本人が運用 | 運用結果で受取額が変動 |
| iDeCo | 個人が任意で加入 | 企業の退職金制度とは別 |
POINT|退職金制度の設置はすべての企業に義務付けられているわけではありません。
給与と同じくらい重要な、休日と労働時間
休日数・残業時間・有給休暇は、生活の質にも関わります。
休日制度の違い
完全週休2日制:毎週2日の休みがある制度。土日以外の場合もあります。
週休2日制:1か月に1回以上、週2日の休みがある制度。毎週2日休めるとは限りません。
完全週休2日制でも、休日が必ず土日になるとは限りません。
年間休日と勤務日数の目安
| 年間休日 | 年間勤務日数(365日換算) |
|---|---|
| 105日 | 260日 |
| 110日 | 255日 |
| 120日 | 245日 |
| 125日 | 240日 |
年次有給休暇(週5日勤務・法定の標準例)
| 継続勤務期間 | 付与日数 | 継続勤務期間 | 付与日数 |
|---|---|---|---|
| 6か月 | 10日 | 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 | 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 | 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 | — | — |
出勤率等の要件を満たす場合。年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、使用者には年5日を取得させる義務があります。
月平均残業の目安(月20日勤務)
- 月10時間 → 1日約30分
- 月20時間 → 1日約1時間
- 月30時間 → 1日約1時間30分
- 月40時間 → 1日約2時間
36協定と上限規制
原則、月45時間・年360時間。特別条項がある場合でも年720時間以内、単月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内などの制限があります。
建設業等にも2024年4月から上限規制が適用されています。業種による例外・特則があります。
休日出勤のかたち
- 法定休日と所定休日の違い
- 振替休日と代休の違い
職種別の注意点
- 事務:月末月初・決算期
- IT:プロジェクト状況・夜間対応
- 施工管理:現場カレンダー・土曜勤務・工期
POINT|年間休日だけでなく、曜日・残業時間・有給休暇も確認しましょう。
月給だけで決めず、総合で比べる
年収・休日・残業・福利厚生・勤務地を横並びにして比較しましょう。
求人A・求人Bの比較例
同じ「給与の高さ」でも、休日や残業時間を含めると、働き方は大きく異なります。以下は説明用の架空の求人です。
| 比較項目 | 求人A | 求人B |
|---|---|---|
| 月給 | 250,000円 | 230,000円 |
| 年間賞与 | なし | 3か月分 |
| 想定年収(残業代除く) | 3,000,000円 | 3,450,000円 |
| 年間休日 | 125日 | 110日 |
| 年間所定労働日数 | 240日 | 255日 |
| 月平均残業時間 | 10時間 | 25時間 |
| 年間残業時間の目安 | 120時間 | 300時間 |
| 年間総労働時間の目安 | 2,040時間 | 2,340時間 |
| 退職金制度 | なし | あり |
※両求人とも1日8時間勤務、1年365日、年間残業時間=月平均残業時間×12か月と仮定。年間所定労働日数=365日-年間休日、年間総労働時間=年間所定労働日数×8時間+年間残業時間で算出しています。有給休暇の取得や休憩時間等は考慮していません。想定年収には残業代を含めていません。求人Bの賞与は「月給23万円を賞与算定基準額とする」仮定であり、実際の賞与は基本給を基準とする企業もあります。
年間総労働時間を比べる
※横棒の長さは2,340時間を100%とした比較。求人Bは求人Aより年間約300時間多く働く想定です。
労働時間当たりの年収も参考に
求人A|参考年収時給
約1,471円
3,000,000円 ÷ 2,040時間
求人B|参考年収時給
約1,474円
3,450,000円 ÷ 2,340時間
※残業代を含まない想定年収を、残業を含む年間総労働時間で割った便宜的な参考指標です。実際の時給・残業代・割増賃金単価を示すものではありません。残業代や諸手当、税・社会保険料を含めた実際の待遇は、雇用条件により異なります。
POINT|年収が高い求人が、必ずしも自分に合うとは限りません。
求人Bは求人Aより想定年収が45万円高い一方、年間休日は15日少なく、月平均残業時間も15時間多い設定です。
収入を重視する方には求人B、休日やプライベートの時間を重視する方には求人Aが魅力的に感じられるかもしれません。退職金制度・昇給・研修・勤務地なども含め、総合的に比較しましょう。
SIMULATOR
年収シミュレーター
月給・賞与算定基準額・年間賞与月数・その他年間支給額から、想定年収を計算します。
想定年収 = 月給 × 12 + 賞与算定基準額 × 年間賞与月数 + その他年間支給額
※税・社会保険料控除前の簡易計算です。実際の支給額を保証するものではありません。
自分の優先順位をチェック
求人選びで重視する項目を選んでください。
選択した項目を色で強調します。選択結果は保存・送信されません。
入社前の認識違いを防ぐ
求人票・労働条件通知書・雇用契約書の役割を理解しましょう。
求人票
募集時に示される条件。すべての情報を網羅しているわけではなく、概要として読み取ります。
労働条件通知書
労働契約締結時に明示が求められる労働条件を確認する書類です。
雇用契約書
当事者間の合意内容を記載する書類。双方で保管します。
2024年4月から、就業場所・業務の変更範囲、有期契約の更新上限、対象となる場合の無期転換申込機会や無期転換後の労働条件など、労働条件明示ルールが拡充されています。
内定承諾までの流れ
試用期間の確認
- 期間の長さと条件
- 給与・手当の違い
- 社会保険加入の取り扱い
- 本採用となる条件
勤務地・業務
- 就業場所・業務の変更範囲
- 将来の配置転換の可能性
- 出張の有無・頻度
無期雇用派遣の確認
- 雇用主は派遣元企業
- 待機期間中の賃金・働き方
- 研修期間中の待遇
- 配属先決定の方法
内定承諾前のチェックリスト
給与・賞与・福利厚生のよくある質問
求職者からよくある10の疑問を、理由と確認方法とともに整理します。
Q1 基本給と月給は何が違いますか?
基本給は給与の基本部分、月給は手当等を含む毎月の給与額です。求人票の内訳で確認しましょう。
Q2 月給25万円なら手取りも25万円ですか?
いいえ。通常は社会保険料や税金などが差し引かれます。第4章の手取り試算も参考にしてください。
Q3 賞与年2回は必ず支給されますか?
条件・業績・評価によって支給額が変動したり、支給されなかったりする場合があります。規程と算定方法を確認しましょう。
Q4 固定残業代があると追加残業代は出ませんか?
固定残業代が対象とする時間・金額を超える割増賃金が発生した場合、不足分の追加支払いが必要です。何時間分か、超過分の扱いを確認してください。
Q5 社会保険完備なら誰でも加入できますか?
制度ごとに加入要件があります。所定労働時間・賃金・企業規模などの条件を確認しましょう。
Q6 無期雇用派遣でも社会保険や賞与はありますか?
社会保険は要件を満たせば加入対象です。賞与は派遣元企業の制度によります。就業条件と制度を確認してください。
Q7 退職金がない会社は避けた方がよいですか?
退職金だけで判断せず、給与・賞与・福利厚生・キャリアなどを総合して比較しましょう。
Q8 年間休日120日なら土日祝は必ず休みですか?
必ずしもそうではありません。休日の曜日や勤務カレンダーを確認しましょう。「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いも重要です。
Q9 試用期間中は給与や社会保険が違いますか?
試用期間中の給与条件が異なる場合があります。一方、社会保険は加入要件を満たせば原則として加入対象です。待遇を書面で確認してください。
Q10 求人票と内定後の給与条件が違う場合は?
変更理由と正式な労働条件を確認し、納得してから判断しましょう。書面で残すことが大切です。
